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風邪のあとに長引く咳の原因は?

皆様、お久しぶりです。

おかげさまで無事に11/6に開院を迎えることができました、まつうら内科院長 松浦邦臣です。開院に至るまで大変お世話になった方々、新しく当院で働いてくれることになったスタッフ、温かく迎えていただいた地域の皆様にこの場を借りて感謝を申し上げます。

 

さて、開院前後はとにかく忙しく、正直ブログのことを忘れていました(笑)。やっと身体も慣れてきたのでそろそろ皆様の興味がありそうなことを、書いてみようと思います。

今回は、「風邪のあとに長引く咳」についてお話していきましょうか。

 

皆さん、風邪の後に熱もないのに咳だけ残る、といったことを経験したことはありませんか?。

4.5日ぐらいなら、まだ我慢もできますが、10日や20日も咳が続くと、夜眠れず体力が落ちたり、ひどいときは咳で肋骨が折れたりすることもあるので、咳とはいえ注意が必要です(私は研修医時代に咳で肋骨を2本折りました(笑))。

 

【なぜ風邪のあとに咳が長引くのか】

 風邪により気道(空気の通り道)に外敵(雑菌やウィルス)が付着すると、これを排除しようと炎症(免疫)細胞が集結してきます。果たして気道粘膜上で、外敵 vs 免疫細胞の戦いが繰り広げられ、これによっておこる炎症のため発熱や咳が生じます。これがいわゆる風邪の咳です。

さて、その後無事に外敵を追い出すと、本来であれば炎症細胞もいなくなるはずですが、帰らずにそのまま気道粘膜上に残ってしまうことがあります。こうなると、いつまでも気道の炎症が収束せず咳が続いてしまうことがあります。これが風邪のあとに残る咳の正体で、この残った炎症細胞には、アレルギー性の炎症をおこす好酸球が主体の場合と、直接的な炎症をおこす好中球が主体の場合(混合の場合もあり)といわれています。

 

【治療は?】

 好酸球が主体の場合、ステロイド吸入などの喘息薬が比較的よく反応します。治療してみると、たいてい2.3日で症状緩和がみられ、1週間程度で症状をコントロールできるなという実感があります。当院には気道上の好酸球量を推定できる呼気一酸化窒素濃度検査があり、この数値をみてステロイド吸入を使用すべきかどうかを判断しています。

一方で好中球が主体の場合、治療に難渋することが多いです。それはこの直接的な気道炎症を抑える特効薬がないからです。このため当院では間接的な効果で気道炎症を抑えることができるといわれる少量テオフィリンや少量マクロライド療法を用いて、2~3週間程度で咳をコントロールできるよう治療を行っています。

「2~3週間って長くないか?」と思われる方もいるでしょうが、放っておくと平気で1~2か月でも咳をすることもあるので、介入しないよりは、介入したほうがマシといえるでしょう。なによりコロナの流行が収束していないいま、ずっと咳をしていると周りの視線が痛いじゃないですか。

 

【原因はこれだけではありません】

 さて、これまでに述べた原因は、あくまでも肺に基礎疾患がない、あるいは軽度の方に多く当てはまります。一方で肺炎や結核、肺癌、肺気腫、間質性肺炎などが実は隠れている場合もありますので、2週間以上続く咳の場合には必要に応じて画像検査も受けるようにしましょう。

 

以上で今日のお話は終わりです。明日からまた皆さんの興味がありそうな話を探しておきますね。

 

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