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なぜ続くオミクロン感染。豪ではインフルエンザが流行。この先どうなる?

尼崎市役所から北へ車で1分、東七松町にある「まつうら内科」院長 松浦邦臣です。飲食店の営業時間・人数制限の撤廃、外国人入国規制の緩和、そして観光支援事業「Go To トラベル」の再開検討など、オミクロン感染者数減少によって心躍るワードに沸いた6月でしたが、先月末より感染者数が増加に転じる自治体が目立つようになり、ちょっと雲行きが怪しくなってきていました。当院でも最近は患者数、陽性率ともに上昇に転じており、また発熱対応で忙しくなりそうで…。

さて今回はなぜオミクロン感染の流行が続くのか、そして今冬のインフルエンザ流行の可能性などについて考察してみたいと思います。

 

①BA.2→BA.5へのマイナーチェンジ

オミクロンBA.2については、いわゆるオミクロン株のマイナーチェンジ型でBA.1に感染しても再感染する可能性をもつ亜種として以前ブログでも紹介しました。BA.2はその後もマイナーチェンジを続け、BA.3が誕生するも幸いパンデミックを持続させるほどの力はありませんでした。ところがBA.4とBA.5はその力を獲得してしまったようで、BA.2→BA.5への置き換わりが進んだフランスでは1日の感染者数が2万→10万と感染者数が再拡大しています。欧州疾病予防管理センター(ECDC)によると、BBA.4とBA.5はBA.2よりも感染力で12~13%増加し、さらにこれまでに体が免疫を獲得していてもBA.5にははたらきが悪くなると指摘しています。日本でも7月第1週の東京におけるBA.5の置き換わりは24%にまですすんでおり、今後全国へと波及していくと予測されています。

 

②ワクチン感染予防効果期間の終了

オミクロン株に対するコロナワクチンの感染予防効果持続期間はおよそ2か月といわれてています。となると4月末まで接種された方の感染予防効果はそろそろ切れているといわざるを得ません。政府は4回目のワクチン接種を、65歳以上または64歳以下でリスク疾患のある方に限定したので、今後接種率が極端に上昇していくことは望めないでしょうから、ウィルスにとっては感染しやすい環境になっているといえます。

 

③猛暑の夏、窓を閉めきる換気不足

コロナウィルスは換気の悪い場所に限って、まるで空気感染(エアロゾル感染)のようにマスクの隙間から身体に侵入してきます。春先であれば窓をあければ心地よい良い風が入り自然と換気ができていましたが、こうも暑くなると会社や家庭でエアコンで部屋を涼しくするため窓を閉めきることのほうが多くなるでしょう。感染対策でいえば窓は開けておいてほしいのですが、昨今の電力供給不足もあってエアコンをかけながら窓を開けることが社会通念上難しい、という悪循環に陥っているようです。

 

<重症度に差はなく所詮はマイナーチェンジ。豪でのインフルエンザ流行はパンデミック終息の吉兆か>

夏になっても感染がつづく現状はおおよそ上記が原因ではないかと考えます。ただ幸いBA.5の重症度はこれまでのオミクロンと大差ないと報告されています。所詮BA.5はマイナーチェンジで、アルファ→デルタ、デルタ→オミクロンといったメジャーチェンジによる強毒化がおきない限り、ワクチンによる重症化予防の効果もあいまって極端な死者数の上昇は避けられるのではと期待しています。

また現在、南半球の豪ではインフルエンザが流行しています。これは「ウィルス干渉理論(ある種のウィルスが極端に流行した場合、他のウィルスが流行しない)」からすれば、良い兆候のようにも思えます。インフルエンザ罹患が原因で命を落とす方もおられるので手放しでは喜べませんが、インフルエンザウィルスには安全なワクチンも予防投与も可能な治療薬もありますし、インフルエンザが流行してコロナの流行が抑えられる方がずっとよいのではないでしょうか。

 

<まとめ>

いまのところBA.5は感染力は高いものの重症化率はこれまでのオミクロンと変わりありません。私見になりますが、豪でのインフルエンザは流行はコロナの寡占状態だった現状打破の吉兆のようにも見え、今後一時的な感染者数の上昇があってもそう悲観することでもないのではないのでは、と考えています。なので政府の方々には、いつまでも「感染者数がふえたら蔓延防止等重点処置か非常事態宣言」ではなく、濃厚接触者の隔離期間短縮などそろそろウィズコロナの前向きな対策を打ち出してほしいと期待しています。

参議院選挙が終わったら頼みますよ。

 

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