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尼崎市役所から北へ車で1分、東七松町にある「まつうら内科」院長 松浦邦臣です。前回ブログで予測したとおり、第6波がダラダラとした波を描きながらも少しずつ感染者数は減少傾向にあるようです。これからGWをむかえ人流が増加することから、5月は一時的に増加に転じる可能性が高いですが、そもそも各国は経済優先のウィズコロナ政策に舵をきっており、これまでの蔓延防止等の対策や、大阪の吉村知事の発言にもありましたが、濃厚接触者の隔離期間の短縮にもそろそろ変化を加えていかないと、世界の流れから置いていかれるような気がしてなりません。
<見えてきた4回目接種の概要>
さて、新聞等の報道にもあるように、R4年5月下旬から6月上旬をめどにコロナワクチンの4回目接種がはじまります。概要は以下の通りとなります
〇4回目の対象接種者
〇接種間隔
※この決定に合わせて、3回目接種も5か月に短縮される予定。
〇接種開始日
〇使用ワクチン
<医療従事者が外れたわけは?>
今回の概要の特徴として、これまで真っ先にワクチン接種をおこなってきた医療従事者が接種対象リストから外されていることがあげれらます。これは4回目接種を積極的に行ってきたイスラエルやイギリスのデータから、4回目接種によって重症化予防効果はみとめられるものの、感染予防効果のピークは、3回目の60数%程度とほぼかわらず、またその効果も2か月程度で減少してしまうことがあきらかになったからと言われています。
つまり、3回目または4回目ワクチンを接種しても、3人に1人は罹患してしまい、またその効果も2か月程度しか保たないということです。なんだかインフルエンザワクチンの効果とよく似てきましたね。インフルエンザワクチンも「重症化を予防することは間違いないが、打っても絶対に罹患しないとはいえないし、その効果は3か月程度」ですからね。
さらに、これに加えて私は「抗原原罪」という考え方も影響しているかもしれないと考えています。
<抗原原罪とは>
「抗原原罪」とは、免疫系が最初に出会ったウイルスの印象を引きずり,後に微妙に変異したウイルスに対しても同じように反応する結果,最適な防御ができなくなるという理論です。
ヒトの免疫系は通常多様性を有しており、一度罹患したウィルスや細菌に対して免疫を獲得するのはもちろん、似たような構造のウィルスや細菌に対しても、ある程度の免疫を発揮することが可能です。たとえば、結核菌にたいしてBCGを接種したヒトは、結核菌の親戚といわれる一部の非結核性抗酸菌に対しても免疫を獲得することが知られています(交差免疫)。この免疫の多様性によって、ヒトはウィルス変異にたいしてもある程度優位に対応できたと考えられますが、「同じワクチンを複数回接種するこによって免疫の固定化がおこり、将来的にウィルス変異に対応できなくなるのではないか」というのが「抗原原罪」の考え方です。
<4回目接種を希望する医療従事者はどうしたら…>
政府が抗原原罪の理論まで考えて、医療従事者を接種対象者から外したかどうかはわかりませんが、重症化予防の観点から、今回の接種対象者は至極妥当な選定だと思われます。ただ医療従事者はコロナの最前線で戦っており、なかには4回目接種を希望する方もいるでしょう。政府は現時点で「医療従事者の4回目接種は公費対象にはならない(打ちたければ自費でどうぞ)」と言っており、打つ打たないは別として「そりゃないよー」という気分がないわけではありません。私自身も正直打つべきかどうか迷っていますが、はてさて、これからどうなるのでしょうか。