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2020年11月(予定)に尼崎市東七松町に新しく開院する内科、呼吸器内科クリニック「まつうら内科」院長の松浦 邦臣(まつうら くにおみ)です。
今回は新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の検査法についてコメントしていきたいと思います。
昨日、私たち医療従事者が心待ちにしていた、唾液による抗原検査キットが近く正式承認されると報道されました。
【抗原検査キット】
インフルエンザ検査のときに鼻から綿棒を入れられて、10-15分待って「陽性だね(もしくは陰性だね)」って言われるアレです。
検査のとき、思わずくしゃみをされた経験のある方も多いと思います。当然COVID-19でも鼻腔から採取すれば、くしゃみ→飛沫というリスクがあり、感染を防ぐため採取者は完全防護をする必要があります。さらに飛沫したウィルスが、椅子や医療機器に付着すれば、接触感染リスクとなるため、隔離室やオープンスペースを確保しなければなりませんでした。
これを唾液でやってよいとなれば、防護服を着ずに(暑いんですよね、アレ)、飛沫リスクなく、少しの感染対策を施せば、簡単に検査を行えるようになります。
最近では、PCR検査も唾液でOKとなりましたが、検査時間自体は鼻腔採取と変わりありません(判明までおよそ2日)。この間入院患者さんであれば、個室隔離を必要とし、スタッフは入退室のたびに防護服を着脱せねばならず、人的・物的消耗を強いられます。
唾液の抗原検査キットなら30分以内に結果がでるため、そういった消耗を避けることができるわけです。救急や一般診療における貢献度は計り知れないでしょう。
しかし弱点が無いわけではありません。
【弱点は感度の低さ】
さて、この抗原検査キットで「陰性」とでたとき、結果をそのまま信用してよいのでしょうか?。
インフルエンザ抗原検査キットの感度は90%以上(10人検査したら9人は確定診断)
COVID-19 PCR検査の感度はおよそ70%。(10人検査したら7人は確定診断)
鼻腔採取のCOVID-19 抗原検査キットはこれよりもさらに下がります(50-60%?)。
一般に、唾液は鼻腔検査よりも感度が落ちるのではといわれており、だとすると唾液の抗原検査キットの感度はいかに??
感度とは「病気を、病気であると診断できる確率」です。6.16厚生労働省のCOVID-19診療ガイドライン改訂版で、鼻腔の抗原検査キットについて、症状発症後2日から9日までの間に検査をし、結果が「陰性」となれば、PCRによる再確認は必ずしも必要でないと明記されました(医師が必要と判断した場合は別)。つまり国は、抗原検査キットの判定結果を「信用してよい」とお墨付きを出したのです。後日、唾液の抗原検査についても記載されるでしょうが、おそらくこれを踏襲するでしょう。
うーん強気ですね。
しかし、思い返せば2000年初頭のインフルエンザ抗原検査キットの感度も62%程度でした。それがいまや90%越えなのですから、COVID-19 抗原検査キットもすぐに改良され、感度があがっていくだろう!と期待しています。
※新型コロナウィルス感染症についてはまだ解明されていない部分も多く、あくまで2020年6月時点での私見であることをご了解ください。