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抗体カクテル療法は軽症患者から使用できるのに、入院は中等症から?

尼崎市東七松町にある「まつうら内科」院長 松浦邦臣です。オリンピックは閉会式を迎え、今後はパラリンピックを残すのみとなりました。感染者急増とオリンピックの因果関係ははっきりとはわかりませんが、オリンピックを政権浮揚のきっかけと位置付けていた与党にとっては来る衆議院選挙に少なくとも吉とはでなかったようです。また、直前までオリンピック開催中止を訴えていた一部のメディアが、嬉々としてメダル獲得を報じる様子は「節操のなさ」しか感じませんね。賛成でも反対でもいいですが、どちらかに旗幟をたてた後に立場を変えるのであれば、変えた理由をしっかりと説明をするべきと思いますが。「説明責任」をよく口にするメディアが、自分自身のことになると頬かむりするから、国民の信頼をなくしてそっぽを向かれるんですよ。

 

【抗体カクテル療法を入院患者にしか使用できないと決めたのは政府ですが!?】

さて、オリンピックの最中に政府がとんでもないことを言い始めました。医療がひっ迫している地域においては入院患者は原則「重症患者」のみとすると。その理由の1つが抗体カクテル療法が特別承認されて、投与された患者の入院・死亡リスクが70%減少するからだと…。

開いた口が塞がらないとはこのことです。なぜなら

① 抗体カクテル療法はすでに高濃度酸素療法をうけている、もしくは人工呼吸器を使用している患者(=重症者)に投与すると病状が悪化する危険があるという報告書読みました?。

② 入院が許可されない軽症者にどうやって、抗体カクテル療法を実施するのですか?。この治療法は軽症者にこそ有効でしたよね(※8/16追記、ホテル療養は投与許可となりました)

 

さすがに世論の反発が強く、中等症からの入院も排除しないと修正しましたが、それでも

③ 抗体カクテル療法の治療対象者は「酸素投与は行われていない入院患者であること」が条件としましたよね。中等症Ⅰ(酸素投与不要)で入院しても、あっという間に中等症Ⅱ(酸素投与が必要)となりますよ。適応から外れたら投与は中止ですか?

④ 軽症患者への一般外来、訪問診療治療は許可しないのですか?

 

【ツッコミどころが多すぎて、泣きそうです】

政府はなぜこんなとんでもないことを言い出したのでしょう?。

ロシュ社からの配給が想定よりもはるかに少なく、供給が滞るとワクチンと同じく反発がでると思って、先手を打ったのでしょうか。それともイギリスのように入院患者を重症者だけに絞ることで、一般医療体制を維持したかったのでしょうか(ワクチン接種状況がずいぶん違いますけどね)。

いずれにしても、説明不足すぎて「ちょっと何言ってるのかわからない」としか感想がありません。説明責任から逃げる「節操のなさ」はメディアだけで十分なのですが。

 

 

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