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尼崎市役所から北へ車で1分、東七松町にある「まつうら内科」院長 松浦邦臣です。年明けから始まったコロナ第6波に翻弄され1月2月は疲労のピークでしたが、3月になってやっと減少傾向がみえはじめブログを書く元気が湧いてきました。前回のtopicがオミクロンでしたので、今回はステルスオミクロンについて解説してみましょう。
<日本ではステルス(stealth=「隠密」「探知できない」)オミクロンは見つけられる!>
ステルスオミクロンは全世界で猛威を振るったオミクロン株(BA.1)の亜種でBA.2と表記されます。ウィルス表面のスパイク蛋白にBA.1と相違点があることで、ヨーロッパやアフリカのPCR検査で「新型コロナ感染症と診断はできるが、デルタかオミクロンかの判定できない」ために、ステルスオミクロンという名前になったようです。
しかし、日本のPCR検査ではもとより「新型コロナ感染症と診断はできるし、かつデルタかオミクロン(BA.2)かも判定できる(※)」ため、日本ではBA.2をステルスオミクロンと呼ぶことは不適切といえるでしょう、。ステルスという名前がつくと、”検査をしてもコロナかどうかわからない”なんていうイメージも付きまとうことからも、そろそろ呼び方を変えてもいいんじゃないかとおもいますね。。
(※)無作為調査のため、患者さんにも医療機関にもBA.2だったかどうかを伝えられることはありません。
<BA.2はBA.1より感染力はやや強いが、第7波を起こすほどではない?>
既にBA.2の流行がみられるデンマークやイギリスでは、BA.2はBA.1よりも感染リスクが26%ほど増えると報告されています。またBA.1では少なかった肺炎もBA.2ではやや増加傾向にあり、高齢者や基礎疾患のある方で入院・重症化リスクも高まることが懸念されています。一方でワクチンのブースター接種は、確かに感染予防効果の点ではデルタより劣るものの、重症化予防効果はBA.1と変わらずみとめられています。またBA.1からBA.2への短期間(2か月以内)での再感染はまれであることから、現段階では第7波を起こすほどではないのではと期待しています。引き続き一定数の中等症~重症患者による医療への負担はあるものの、レムデシビルやモヌルピラビルの効果もBA.1と遜色ないことから、1月のような医療逼迫とまではならないかもしれません。
ただし、第6波の減少速度に影響することは避けられないでしょう。事実2月上旬にBA.1がピークアウトしたあと感染者数の減り方はデルタのときよりも遅く、さらに3/21で蔓延防止等重点処置が解除されると人流が増え感染リスクも高まります。このため全体的には減少傾向でありながらも一時的な増加も繰り返しつつ、第6波は比較的長期に及ぶと危惧されています。
<新しい変異種がでなければ、パンデミックは収束かも>
以上、オミクロン亜種(BA.2)について考察を述べてみました。デルタ収束のときには、すでにオミクロンの危険性が声高に叫ばれていましたが、現段階でパンデミックとなるような新しい変異種の報告はなく、WHOも上手くいけばパンデミック(世界的流行)から、エピデミック(地域的流行)、そしてエンデミック(地域における季節性流行)へと収束していくのではと期待しているようですね。ちなみにエンデミックは「英語のend(終了)」ではなく、「ギリシャ語のendemous(土着の)」を語源としており、風土病と訳されるようです。残念ながらコロナとの共生はまだ終わりではないようです。
はやくマスクをはずして外出したいなぁ。