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インフルエンザワクチン供給遅れ+3割減で、今年こそ流行する?しない?

尼崎市東七松町にある「まつうら内科」院長 松浦邦臣です。全国でコロナワクチンの2回目接種率がいよいよ50%を超え、10月中に希望者の1回目接種を終了するよう自治体から接種のラストスパート指示が届いています(年明けには3回目のワクチン接種も始まるようですが…)。これにあわせ当院でも、10月はファイザー社製ワクチンの供給量減を受け中止していた新規の方の予約再開、ならびに平日午前すべての予約枠開放をおこないました(※予約枠がすべて埋まり次第、受付終了となります)

「あぁ、これでひとまずワクチン苦労も終わりそうだ」と思った矢先、9/10厚生労働省から、今年のインフルエンザワクチン供給量は、昨年よりも2-3割減少し、さらに例年10月中旬となっていた供給開始時期も遅れそうだとの通達がありました。…まだまだワクチンに頭を悩ませる日々は終わらないようですね。というわけで、今回はインフルエンザワクチンの背景についてお話していきましょう。

 

【インフルエンザワクチンの供給量減少のわけ】

インフルエンザワクチンは不活化ワクチンで以下の工程で製造されます。①流行が予測されるインフルエンザウィルス株を、孵化有鶏卵に接種しこれを培養、ろ過、濃縮、遠心分離し、高度に精製されたウィルスを採取します。②さらにこの精製ウィルスをホルマリンで不活化し、滅菌処理をすればワクチン原液となり、③最後に保存剤と安定剤を添加することでインフルエンザワクチンが完成します。ここから各メーカー独自の検定と、国家検定による基準に合格したものだけが、市場に流通することになります。

この製造過程で滅菌に使うフィルターが世界的に不足しているというのが、ひとつ目の理由のようです。なぜ不足したか?。答えは当然コロナウィルスワクチン製造に優先的に使用されているからです。

さらに、昨年インフルエンザウィルスがまったく流行しなかったため、精製元となるウィルス株自体が少なく培養に手間取っているというのが、ふたつ目の理由だと言われています。

 

【供給量は昨年より2-3割減少+供給時期は遅延の見込み】

このような理由から、今年の供給量は2567~2792万本(1本は大人2回分)の見込みとなります。昨年より2-3割減のうえ毎年10月中旬には潤沢に供給されるインフルエンザワクチンが、今年は11月.12月にならないと安定供給とならないようで、当院も残念ながら新規の方ならびに接種を希望するすべての方を受付できるほどワクチン確保ができない見込みです。

 

【今年こそインフルエンザは流行するのか?】

たしか去年はコロナウィルスワクチンがまだ無く、インフルエンザウィルスとのダブルパンデミックの恐れから、せめてインフルエンザワクチンだけでもっ!との大号令のもと、たくさんの方が接種のため来院されました。ところが私の医者人生で初めてインフルエンザの診断ゼロを経験するほど、まったくと言っていいほど流行せず、「打たんでもよかったんちゃう?」と思われた方も多いでしょう。

実際、北半球流行の目安となる、6月の南半球(冬)におけるインフルエンザの流行は今年も昨年同様になく、さらに人流抑制によってヒト-ヒト感染成立の場面が減っていること、マスク・手洗いの基本的な感染対策が根付いていること、ウィルス干渉(あるウィルスが流行している時期は、ほかのウィルスが流行しにくい)の理論などから、今年もインフルエンザは流行しないだろうと予測されている方も多いと思います。

しかし一方で、去年流行しなかったRSウィルスが今年の夏に小児を中心に流行したり(ウィルス干渉理論に矛盾)、昨年流行がなかったことでインフルエンザウィルスの自然獲得免疫がないことなどから、今年こそ大流行するという予測があることも事実です。

 

【インフルエンザワクチンを打つべき対象は?】

幸いインフルエンザウィルス感染症には治療薬(タミフル、リレンザ、イナビル、ゾフルーザ、ラピアクタ)があり、たとえ罹患したとしても48時間以内に治療を行えば重症化のリスクはかなり軽減できます。上記のとおり供給量減少+供給遅延を考えると、優先すべき接種対象者は、65歳以上にならびに64歳以下で基礎疾患をもっている方だと考えています。

 

【最後に】

結局、ウィルスは人間の予測どおりに動くことはなく(コロナの第5波収束傾向もなぜなのかわからない)、インフルエンザが流行するかどうかは人智の及ぶとことではないということでしょうか。それでも私の予測ですか?。私は希望的観測を込めて「流行しない(んじゃないか)」と思っています(笑)。

 

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