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かぜのほとんどはウィルス。

皆様、あけましておめでとうございます。

12/31東京の1300人超の新規感染、関東における感染者数増など、とてもめでたい雰囲気ではないですが、一方関西、とくに大阪ではGOTO停止の効果もあってか、新規感染者数を抑え込めているようです。しかしわれらが兵庫県はというととくに知事からの強いメッセージもなく、人口比率から考えると高止まりしているようで心配の種がつきません。

 

さて、毎年冬になると風邪が流行しますよね。私は新型コロナ流行前からあまり風邪を引かない体質ですが、今年は感染対策の効果もあって、外来でも風邪で来院される方は例年にくらべると圧倒的に少ないという実感です。

一方で、この時期に咳や熱がでると「風邪!?まさかコロナかっ!?」と心配になりますよね。というわけで今回はその風邪についてお話していきます。

 

【かぜ症候群】

日本では気道感染症を解剖学的に上気道感染(鼻~咽喉頭)と下気道感染(気管~肺)にわけ、上気道感染症である急性上気道炎を「かぜ症候群」と呼んでいます。一方アメリカでは合併症のない急性気管支炎もふくめかぜ症候群としており、日米でかぜの定義は違います。

 

【原因】

かぜ症候群の原因は80-90%がウィルスで、残りを一般細菌やマイコプラズマなどで占めるといわれています。ウィルスのなかではライノウィルスが最も多く、次いでコロナウィルス(←新型コロナのことではなく、以前からあるコロナウィルスのこと)。そのほかインフルエンザウィルス、RSウィルスなどが続きます。

よって、風邪をひいたからといって、すぐに新型コロナウィルス感染症(COVID-19)というわけではありません。むしろしっかりと手洗い、うがい、マスク等感染予防をしていればCOVID-19にかかる方が難しいかもしれません(陽性者との濃厚接触は別ですが)。

 

【ウィルス感染と細菌感染で症状の違いは? 】

一般的なウィルス感染の場合、咽頭痛、空咳、微熱、倦怠感がメインとなります。これはCOVID-19にもいえるため、症状からCOVID-19かどうかを判定することは難しく、COVID-19診断のためには抗原検査やPCR検査を必要とします。インフルエンザウィルスはちょっと特殊で、高熱や関節痛、強い倦怠感など他のウィルスに比べると急激かつ全身的な症状を呈します。ただ最近はインフルエンザワクチンが普及したためか発症しても軽微であることが多く、一般のウィルスとの鑑別が難しくなってきています。そのため診断にはインフルエンザ抗原検査を必要とします(抗原検査なしの臨床診断でも可)。

一方で細菌感染の場合には微熱~高熱、膿性痰の咳、血液検査で白血球数増加、炎症反応(CRP)の上昇などウィルスにはない特徴がみられることがあります。

【治療】

インフルエンザ以外のウィルスに治療薬はありません。したがって熱をさげる、咳をとめるといった対症療法がメインとなります(COVID-19のステロイドも過剰な免疫を抑えるためで抗ウィルス剤ではない)。ただ熱も咳もウィルスを追い出すための身体の防御反応なので、やりすぎるといつまでも体内にウィルスを抱え込んでしまうことになります。ほどほどに治療するのがよいといえます(それが難しいのですが)。

細菌感染の場合は抗生剤を考慮しますが、日本では抗生剤使用が多すぎるということが昨今問題となっています。たとえ細菌感染であったとしても通常の体力・免疫力があれば対症療法で治癒できるので、むやみに抗生剤を服用する(=医者が処方する)ことは問題だといえます。呼吸器学会では抗生剤の適応を ①3日以上の高熱②膿性痰もしくは鼻汁③扁桃肥大と膿栓・白苔付着④中耳炎、副鼻腔炎の合併⑤強い炎症反応(白血球上昇、CRP陽性⑥ハイリスク(65歳以上もしくは基礎疾患)のうち3項目以上該当すれば抗生剤投与を検討すべきとしています。

 

 

以上でかぜのお話は終わりです。COVID-19が流行する前は「かぜに抗生剤はいらない」といった議論が中心でしたが、この冬はそれどころではなくなってしまいました。近い将来、COVID-19が収束して皆さんがこれほどまでに感染対策を徹底しなくなれば、おそらくまた普通の風邪(COVID-19も季節性かぜウィルスの一つになると予測されている)が流行するのでしょうけど、そんな日々に戻れることですら切望して止みませんね。

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