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自宅で検査できる睡眠時無呼吸症候群の精密検査。

今日は、睡眠時無呼吸症候群についてお話しましょう。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の病名が世間に知られるようになったのは、2003年に、山陽新幹線で運転手の居眠り運転 →原因がSASであったということが報道されたころではないかと記憶しています。

当初は日中の眠気や、会議に集中できないという症状だけが注目されていましたが、実は高血圧や、動脈硬化、果ては心不全の増悪因子に至るまでいろいろな病態を引き起こすことが分かってきています。

【受診のきっかけ】

 たいていの方は、ご家族に睡眠中のひどいいびき、短時間の呼吸停止を指摘されることが受診のきっかけとなります。ほかには先ほどの日中の眠気や集中力の低下で仕事にならない、熟睡感がないといった症状や、最近血圧が高くなり実はSASが原因だったとい事例もあります。

 

【検査の流れ】

 まずは簡易検査で睡眠障害の程度を計測します。以前より簡易検査は自宅で検査可能で、指に酸素測定のクリップ、耳から鼻にかけて気流を感知するチューブを、胸に胸郭の動きを感知するセンサーベルトを巻いて寝ます。私も一度つけてみましたが、正直「こんなのつけて眠れるか?」という気持ちになりますよ。おそるおそる寝てみましたが、とてもぐっすり眠れてちょっと意外でした(笑)。

この簡易検査で「無呼吸指数」を解析し、指数が40以上であれば問答無用で重症の睡眠時無呼吸症候群と診断され、治療でCPAPという医療機器を保険で使えるようになります。一方20以上40未満であれば、中等症かというとそうではなく、さらに精密検査が必要となります。

精密検査は、つけるセンサーの数がさらに増えるため、これまでは入院で検査をすることが一般的でした。私も大学病院時代に、当直中の夜8時ごろ「検査入院の方が来られました~」と病棟から呼び出され、行って患者さんに挨拶を済ませると、次は技師さんがあれこれと検査機器を取り付けて朝まで眠ってもらい、朝6時頃に取り外して帰ってもらっていました。検査結果は後日外来でご説明するのですが、よく言われたのが「環境が変わってよく眠れなかった。あれで大丈夫ですか?」という不安でした。確かによく眠れなかったら検査結果に信頼をおきにくいですよね。

【自宅で精密検査ができる時代へ】

そういった患者さんのニーズに応えるように、最近では自宅で精密検査ができるようになりました。もちろん検査機器の取り付けは自分でできるように簡素化されています。やはり自宅で検査ができるということで機器をつけていても、普段どおりに眠れることが多いようです。どうしても眠れなかったという方には後日もう一度トライしてもらうことも可能です。

【指数で治療を選択】

 さて、この精密検査で指数が30以上であれば重症の睡眠時無呼吸症候群、15~30未満であれば中等症、5~15未満で軽症と診断されます。精密検査で中等症と判断されても、20以上であれば保険でCPAPを装着できます。CPAPには先に述べたように心血管イベントを減らし、健常人と同じにまで死亡リスクを減らすことが明らかとなっているからです。

CPAPを使用するほどでなければ、歯科で口腔内装具(マウスピース)を作成して毎晩装着してもらったり、生活習慣の改善によって舌の周りの脂肪を減らすことで気道を広げるようにしています。

ただ以上のような分け方は睡眠中に上気道が閉塞する閉塞型SASに適応するもので、うっ血性心不全患者さんにみられるような中枢型SASでは、CPAPが積極的に使用されています。

 

以上で睡眠時無呼吸症候群のお話は終わりです。もしこれを読んで気になる方がおられたらぜひ一度、近くの呼吸器内科に相談してみてください。

 

 

 

 

 

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